たくきよしみつ「日本のルールは間違いだらけ」要約2

冒頭より
愚ルール五法則


①そもそもそんなルールは必要がない
②ルールに明らかな間違い(バグ)があり、使いものにならない
③ルール制定時に将来を見通せなかったために、現代では通用しなくなった
④ルールそのもの、あるいはルールの解釈が曖昧で、まともに運用できていない
⑤ルールの目的や成立過程に悪意や作為があり、公正・公平ではない



第2章より


首都高の明らかな設計ミス、わかりにくさ。
2つの種類がある信号機や分岐路表示の不統一な交通標識。
左側通行によって日本が損して来たこと。


電車の軌道幅とJR福知山線脱線事故の関係。
軌道幅が狭い(1067mm)のに対して車幅が3倍近い(2950mm)という頭でっかちな電車が、物理的に無理な条件のもと標準軌(1435mm)の阪急線とスピード競争をしていたというところが根本の原因。


上越新幹線脱線事故のケース
時速200kmの新幹線が脱線したが怪我人さえでなかった。
脱線地点が直線区間だったこと、豪雪地帯だったために排雪溝があり、そこにはまり込んだかたちで滑走したため、高架橋からの墜落を免れたこと。
しかし一番の理由は橋脚が崩れなかったこと。
阪神大震災の教訓から高架の強化工事が行われていたという事実。
マスメディアの多くが「新幹線安全神話の崩壊」などのセンセーショナルな見出しをつけて報道した。

高速鉄道を有するフランスや韓国などの海外メディアは、高架橋が崩れなかったことを高く評価した報道をした。
日本のメディアは「事故=管理社責任の追及」という固定観念であの事故に接触している。
事象の原因と意味をゼロから先入観無しに考えることをしない、思考硬直症状がどんどんひどくなってきている。


第4章より


ワインの酒税がビールに対して安く設定されているのは、ワイン輸出国の圧力に負けたから、ビール酒税が理不尽に高いままなのは、外国のからの要望は聞くが、国内の要望は無視するということではないか?
酒税は矛盾している。
ビールメーカーは発泡酒第3のビールなど努力を続けて来たが、政府はとどめを刺すような税法改悪(発泡酒税率を上げ、第3のビールにも増税、その後ビールっぽい酒にはビールと同じ1ℓあたり220円の税率)をした。


内税表示のこと
2004年から内税表示が義務化された
消費税の表示変更に対してアンケートの賛成意見では、「実際の支払額がわかりやすい」「99円などの安売り感のある値付けに左右されない」「複数の表示方法があるとわかりにくい」「税率が上がっても負担感が薄い」「レジで驚かなくてすむ」などの理由があった。


しかし、税別表示の意味は、売る側が少しでも安く見せるためにしている方法という側面だけではない。
いちばんの目的は、消費税率に変更があった時に対応しやすくするということである。


消費税が施行された1989年、書店は在庫分も含め、カバーや帯を印刷し直したり、上からシールを貼るなどの対応をした。負担額も大きく、大量の在庫書籍が断裁処分され、絶版になるという文化喪失につながった。
その経験をふまえて3%から5%に上がった時は価格表示を外税表示にして囲以後の税率変更に備えた。


その悲劇が再び繰り返されそうになったが、実際2004年の総額表示義務化の際はスリップ(本に挟み込んだ短冊状の紙片)に総額表示するということで決着した。


ネットショップの買い物かごシステムのほとんどは、本体価格と消費税を別に計算することによて、消費税率変更にもすぐに対応できるよう設計されていた。
何千ページの商品紹介ページを変更する代わりに、買い物かごソフトの設定を変更するだけでよかった。


しかしこの改革ではひとつひとつの税込み価格を表示しなくてはならないので、すべてを手作業で修正しなければならず、自動化によってコスト減をはかっているネット通販には命取りの不測のコストとなった。


POSシステムで外税表示ができなくなるとシステムの根本を変えなければならない事態もある。
消費税で1.05をかけて端数が出る価格の場合、1円以下は切り捨てとなる。
そのばあい、同じ商品を10回売るのと、10個をまとめて売った場合の金額に差が生じる。

例)98円の商品
税込み表示では102.9円→端数の0.9円を切り捨てで102円と表示する
これを10個購入すると
102円×10=1020円 のはずであるが、


従来のPOSシステムの場合
98円×10=980円、980円×1.05=1029円となり、9円多く請求してしまう。
なのでPOSシステム全体を変更しなければならない。


さらに、納税する消費税は年間売り上げの5%という決まりができた。
つまり、もらっていない消費税の端数も上乗せして政府に納めなくてはならなくなった。

例)
98円の商品をバラバラに1万個売った場合
98円の税込み価格 102円×10000=1,020,000 102万円

98万円の商品を1個売った場合
98万円の税込み価格 1,029,000円 102万9000円で端数がでない


つまり小額商品を細かく売っている商売ほど損をするということ。


内税総額表示の義務化は将来の消費税率上げを睨んだもの。
内税方式にして消費税部分を隠し、税率が上がった時の痛税感を和らげようという意図・・・。
アンケートにあった「税率が上がっても負担感が薄い」「レジで驚かなくてすむ」といった庶民感覚を見抜かれた上での義務化だった。