森達也「放送禁止歌」
1999年11月6日(土)
放送禁止歌〜唄っているのは誰? 規制するのは誰?〜
NONFIX
http://www.fujitv.co.jp/nonfix/library/1999/368.html
あまり興味の持てないテーマかもしれないけれど、
森達也がフジテレビ時代に撮ったドキュメンタリー作品。ということで見てみた。
ーーフジテレビサイトより
番組を取材した森 達也ディレクターは「現在はメディアがタブーを醸成する時代であるとも言われています。こうした“放送禁止歌”にはまさに時代のタブーが集約されているはずで、その歴史的変遷を追えばきっと日本の戦後が新たな視点から見えるのではないだろうか?そんな想いからこの番組の取材を始めました」と番組を企画した動機について話す。
そして、取材を始めると昭和40年代に規制された曲が今だに規制の対象になっているという事実に気づく。だが、不思議なことに“放送禁止歌”を検証しようとしても規制している主体がなかなか見つからないというのだ。規制をしているのは一体誰なのだろうか・・・? そして、そんな疑問符を解くべく様々な人や場所を取材する過程で思いもよらなかった規制の本質が少しずつ姿を現し始めた。これらの放送禁止歌の背景には日本人が抱える極めて典型的なメンタリティーが隠されていたのだ・・・。
- 作者: 森達也
- 出版社/メーカー: 知恵の森
- 発売日: 2003/06/06
- メディア: 文庫
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この本を読んだ松岡正剛と言う方の書評も引用。
本書にはぼくが知らなかったこともたくさん書いてある。目からウロコが落ちることも多かった。それにしても、このテレビ企画はよく通った。
だいたい放送禁止歌があることは誰もがうすうす知っているはずだが、それがどこでどのように“禁止”されたかなどということは、誰も知ってはいない。それを取材してドキュメンタリーにすること自体がタブーを犯すことになるのだから、どだいこの企画は無理なはずなのである。
ところが本書がしだいにあきらかにするように、放送禁止歌というものは「幻想」だったのである。「実在」しないのだ。そのような事情があったからこそ、このドキュメンタリーは成立し、本書が読ませるものになった。しかし「実在」しないなら、どこで放送禁止歌はつくられたのか。
(中略)
次から次へと放送禁止や放送自粛がおこってきた。しかもいったんそうなると、二度とその歌はメディアのどこにもにあらわれなくなっていく。禁断される。けれどもその禁断はメディアの共同幻想らしかった。著者はそのことを伝えたくて、番組をつくりたかったと書いている。
(中略)
こうして本書は、放送禁止歌ではなくて、時代と社会とメディアの中で生まれ、沈んでいった歌というものの不気味な本質を告げ、終わっていく。なかなか読ませた。考えさせられた。
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http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya0845.html