再び、洗濯機の朝。

今日も、なんだかあの音が聞きたくなって、たまってもいないのに、朝から洗濯機を回す。
天気はあまりよくないけれど、なんだかとっても幸せな気分。
昨日雨に濡れて乾かなかった洗濯物が、お家の中に入れてあたたかそう。
ヒーターの上で厚手のパジャマが乾いてゆくにおい。
寒いけれど、レースカーテンで曇りの日の光を部屋の中に取り入れる。
さぁ、お茶を湧かそう。


一日小雨。
一日中乾かない街、コンクリートは一日中、黒々濡れて光ってた。
朝から文章をたくさん書いたので、2月の日々の充実感を胸に、一度就活のことは頭の中から消して吉祥寺へと向かう。
薄着をしてしまい、寒さが足下からにじりよってくる。
でも、もう春が近いはずだ、今年は一度もホッカイロのお世話にならなかったかも。


今日はめずらしく認められた一日。
成長を褒められたり、仕事ができないと無視をかましてくるコックさんから反応が帰って来たり(笑)
こんな小さいことが幸せに感じちゃって、ひきとめられてしまったらどうするんだ、もう。
こんどは嬉しくて涙が出そう。


名古屋時代ずっとセールスコンテスト一位の栄光のわたしが、遠い。
働く勇気が、ちょっとしたプライドで持ち直す。
先日、元社会人の友人から学んだ素直にまず謝る!気持ちよく、のスローガンを胸に掲げたからなのか。
昨日のベッキーの本の、仕事を心から楽しむための言葉と、
仕事を辞める勇気をもらえた、高橋歩の野心に満ちた言葉とが、心の中で戦闘開始しそう。


そうこうしていたら褒められて浮かれた気持ちをひたかくしつつ終業の時間に。
カンパリを入れた苦いビールを飲む。
吐息も温まったところで、今日も三鷹TSUTAYAで読書。
「どうぞのいす」を読んでいたら、お気に入りの席も空いた。


今日は、池上彰が去年の11月に出版した「日本がもし100人の村だったら」を読んだ。
今後日本で暮らしたり、子供を育てて行くという未来に期待できなくなってしまった。
もちろん、うまれた場所は愛したいし、日本文化には自慢できるところたくさんあるんだけど
この世界にもっとimaginationfullでのびのびと生きる方法も、それを確立している国と環境もあるなら、わたしはそこで暮らして行きたいと思った。


本のしめくくりとしては、今回の政権交代は、いままでの総理大臣だけが代わりベースの変わらないいわば疑似政権交代とはちがう。
だからこの本で問題を浮き彫りにして、変えて行くことに期待して行こうというような内容だった。
忘れないように、常に暮らしの中に置いておきたい日本社会を俯瞰した一冊。
それに少し世界と比較できるようなページもある。


ショッキングだったのは、東京の食料自給率はたったの1パーセントってこと。
ほぼ100パーセント、ここでとれたものが食べられない街。


あと、オランダの正社員にくらべて非正社員の給料は95パーセント、つまりほとんど変わらない。
変わらないから、いろんな働きかたの可能性があるし、正社員のいすとリゲームにもならないし、正社員が特権階級化しない。
そんな働くオランダ人を目で見て、感じたいな、知りたい国が一つ増えた。


ちょっと頭を使ったので後半戦は休憩。
浅野いにおの短編、「世界の終わりと夜明け前」っていう漫画を読む。
だいぶ後半のところで、ある漫画家が「あなたの漫画は浅くて悲観的」って言われているシーンがあるんだけど、それがこの本の感想に一番しっくり来ると思った。
わたしはどうも自分を特別扱いする主人公は好きになれない。
わかっていて書いている漫画家さんだとしたら、すごく時代を見据えている人なのかもしれない。


読書タイムを終えて、キッチンスタッフでもある、コックさんの娘を吉祥寺駅までお見送りに行く。
朝のバスにトランクの大荷物を抱えた人が次々に乗り込んで行く。
なんだかラブアクチュアリーの最初のシーンを思い出した。
ばいばいまたね=と大きく手を振って、家路へ。


ずっとスピッツの「君と暮らせたら」を聞きながら帰る。
イギリスにいたときに持って行った唯一の日本語の曲は、この曲と魔女の宅急便の「ルージュの伝言」。
こればっかり聞きながら、家族の1年分のジャムを作るために、木になったプラムをはしごにのぼって収穫したなぁ。
葉っぱが生い茂る中をかき分けて、すっごくシンプルで美しい世界にいたな。
わたしにとっての世界の終わりは、そんな景色。